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緋色の死神 2

 走る

 走る

 走る


 ただ、ひたすらに逃げ続ける。


 超人的なスピードで森を駆け抜けるマーヤとジェイコブ。野生の獣ですら、二人に追いつくのは至難の業だろう。


 マーヤはチラリと背後を確認する。


 やはりというべきか、緋色の死神は二人に遅れる様子もなく、一定の距離でピタリとついてくる。


 それは予想通り。むしろ追いかけ続けてもらわなくては困る……。


 しかし、その時は唐突に訪れた。


 足場の悪い森の中での逃走劇。地面からにゅっと飛び出た木の根に足を取られたジェイコブが、派手に転倒する。


 それに気が付いたマーヤが、慌てて駆け寄ろうとするが、すでに遅い。


 背後から猛スピードで迫ってきた緋色の死神が、その鋭い爪をギラリと光らせて、地面に倒れこんだジェイコブに襲い掛かる。


 絶体絶命。


 この距離ではマーヤの足でも間に合わない……。


 その瞬間、緋色の死神が踏み抜いた地面が激しく発光した。


「破邪の法其の三 ”封鬼の牢”」


 地面に仕込まれていたトラップ式の魔法陣には、見慣れない東方の文字が刻まれている。


 そこからニュッと飛び出た光の鎖が緋色の死神を縛り上げ、その動きを止めた。


 茂みに隠れていたのはSランク冒険者のカガリ。


 東方にルーツを持つ彼は、”封印術”と呼ばれる東方に伝わる独自の術を扱うことができる。


 そう、これは罠だ。


 マーヤとジェイコブが緋色の死神の注意を惹き、所定の場所まで誘い込み、カガリが封印術でその動きを止める。


 そして……。





「”祖たる火の精よ”」


「”すべてを喰らう貪欲なるサラマンデルよ”」


「”我が敵を燃やし尽くせ”」




 待機していた魔法使いのレミが、再考火力の魔法を発動する。




「”メガ・ファイアボール”」




 上級魔法メガ・ファイアボール。


 金属すら融解する灼熱の魔法が、身動きを封じられた緋色の死神に直撃する。


「やった!」


 作戦の成功に、喜びの声を上げるレミ。





 しかし………





 上級魔法メガ・ファイアボールは、何かに切り裂かれ、宙で霧散する。


 いつの間にか、封印術の拘束を破った緋色の死神は、その右手に一振りの剣を握っていた。


 柄の無い片刃の剣。持ち手から刃先まで太さが均一だ。


 そして特徴的なのは、その色。


 闇よりも深い漆黒。


 まるで剣の形に空間を切り取ったのではないかと感じるほど、見るものを不安にさせる虚無の色だ。


 先ほどまで、死神は間違いなく武器なんて持っていなかった。


 では、あの漆黒の剣は何なのだろうか……。


 その場の誰もが言葉を失っていたその時、緋色の死神がゆっくりと口を開いた。


「さテ、貴様らは何が望みダ? この私の命が欲しいのカ?」



 走る

 走る

 走る


 ただ、ひたすらに逃げ続ける。


 超人的なスピードで森を駆け抜けるマーヤとジェイコブ。野生の獣ですら、二人に追いつくのは至難の業だろう。


 マーヤはチラリと背後を確認する。


 やはりというべきか、緋色の死神は二人に遅れる様子もなく、一定の距離でピタリとついてくる。


 それは予想通り。むしろ追いかけ続けてもらわなくては困る……。


 しかし、その時は唐突に訪れた。


 足場の悪い森の中での逃走劇。地面からにゅっと飛び出た木の根に足を取られたジェイコブが、派手に転倒する。


 それに気が付いたマーヤが、慌てて駆け寄ろうとするが、すでに遅い。


 背後から猛スピードで迫ってきた緋色の死神が、その鋭い爪をギラリと光らせて、地面に倒れこんだジェイコブに襲い掛かる。


 絶体絶命。


 この距離ではマーヤの足でも間に合わない……。


 その瞬間、緋色の死神が踏み抜いた地面が激しく発光した。


「破邪の法其の三 ”封鬼の牢”」


 地面に仕込まれていたトラップ式の魔法陣には、見慣れない東方の文字が刻まれている。


 そこからニュッと飛び出た光の鎖が緋色の死神を縛り上げ、その動きを止めた。


 茂みに隠れていたのはSランク冒険者のカガリ。


 東方にルーツを持つ彼は、”封印術”と呼ばれる東方に伝わる独自の術を扱うことができる。


 そう、これは罠だ。


 マーヤとジェイコブが緋色の死神の注意を惹き、所定の場所まで誘い込み、カガリが封印術でその動きを止める。


 そして……。





「”祖たる火の精よ”」


「”すべてを喰らう貪欲なるサラマンデルよ”」


「”我が敵を燃やし尽くせ”」




 待機していた魔法使いのレミが、最高火力の魔法を発動する。




「”メガ・ファイアボール”」




 上級魔法メガ・ファイアボール。


 金属すら融解する灼熱の魔法が、身動きを封じられた緋色の死神に直撃する。


「やった!」


 作戦の成功に、喜びの声を上げるレミ。





 しかし………





 上級魔法メガ・ファイアボールは、何かに切り裂かれ、宙で霧散する。


 いつの間にか、封印術の拘束を破った緋色の死神は、その右手に一振りの剣を握っていた。


 柄の無い片刃の剣。持ち手から刃先まで太さが均一だ。


 そして特徴的なのは、その色。


 闇よりも深い漆黒。


 まるで剣の形に空間を切り取ったのではないかと感じるほど、見るものを不安にさせる虚無の色だ。


 先ほどまで、死神は間違いなく武器なんて持っていなかった。


 では、あの漆黒の剣は何なのだろうか……。


 その場の誰もが言葉を失っていたその時、緋色の死神がゆっくりと口を開いた。


「さテ、貴様らは何が望みダ? この私の命が欲しいのカ?」



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