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王都エラドラ

 王都エラドラ


 広大な領地を持つエラドラ王国の首都。そして、世界中に支部があるギルドの本拠地がある場所でもある。


 港町のギルド支部が用意した馬車に乗って、マーヤは王都エラドラにたどり着いた。


 馬車旅は快適だが、同時に酷く退屈だった。


 食料は港町で買った干しこれはこれでうまかったがと固いビスケットだけ。狩りのワクワクも、見知らぬ美食との邂逅もなし。


 これで退屈するなという方が無理な話だ。


 王都に訪れるのは初めてではない。お目当てのギルド本部の場所はわかっているが、真っすぐ向かう気にはなれなかった。


 せっかく遠くまで来たのだ、この街のグルメを味合わなくては損だろう。


 こういった大きな都市には、見たことの無いような変わった食材はないが、そのかわりに腕の良い料理人がいることが多い。


 今回はとりあえず中心街に向かって……。


「迎えに来たぜぇ、お嬢ちゃん」


 そんな事を考えていたマーヤの背後から、ドスの聞いた男の声。


 声をかけられるまで、その男の存在に気が付かなかったという事実に驚きながら振り返ると、そこには見知った初老の男が立っていた。


 白髪まじりの灰色の髪はオイルでキレイに後ろに撫で付けられ、顔に深く刻まれたシワが年齢を感じさせる。


 視線だけで人を殺せるのではと噂されるほどの鋭い三白眼。


 足は悪くないだろうに、豪華な装飾がほどこされた杖を持っている。


 マーヤは嫌そうに顔をしかめながら口を開いた。


「おいおい勘弁してくれよ。なんでギルドマスターが直々にお出迎えしてんだよ?」


 彼の名はハザン・バーナム。


 全世界に勢力を拡大している冒険者ギルドの長。


 マーヤが傭兵だった頃に何度か合ったことがあるのだが、正直その掴みどころのなさがニガテだった。


 ハザンはニヤニヤと笑いながら、近づいてくるとマーヤの方にポンと手を載せた。


「お前が真っ直ぐギルドに来ないことなんかお見通しなんだよ!普段なら気長に待つとこだが……残念ながら緊急事態でな、すぐに来てくれ」


「そんなニヤケ顔で緊急事態とか言われてもナー」


 気乗りしない様子のマーヤに、ハザンは澄まし顔で返答する。


「すまんな、おっちゃんは若いお嬢ちゃんとお話するとどうしても嬉しくなっちゃうんだ」


 そして流れるようにマーヤの尻を触るハザン。


 次の瞬間、マーヤは背負っていたバトルアックスを凄まじい速さで抜刀し、ハザンの首めがけて振り下ろした。


 大木すら一撃で両断するマーヤの一撃。しかしハザンは何でもない事だとばかりにヒョイと身を屈めて攻撃を回避すると、ケタケタと笑いだした。


「腕は鈍ってないみたいだなマーヤ」


「うるせぇ!ぶち殺すぞエロじじい!!」


「いやいや、悪かったって。ちょっとしたスキンシップじゃないか」


「よし決めた!テメェは今ここでコロス」


 殺気マシマシでバトルアックスを構えるマーヤに、ハザンはポリポリと頬をかきながらつぶやいた。


「”緋色の死神”が現れたんだよ」


 緋色の死神


 その名前を聞いた瞬間、マーヤはピタリと動きを止めた。


「……マジな情報か?」


「ああ……ガセネタだったら良かったんだがな」


 ハザンは面倒臭そうにため息をつくと、マーヤについてこいとばかりに手招きをする。


「だから緊急事態なのは本当なんだよ……ギルドに来てくれ」




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