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招集 2

 ギルドの応対室で、出された紅茶をすすりながら待機するマーヤ。


 いい茶葉を使っているのだろうか? 出された紅茶は香り高く、非常に美味い。


 その香りをゆっくり楽しんでいると、いらだった気持ちが少し落ち着くようだった。


 やはり美味い食事や飲み物は重要だ。マーヤのささくれだった心を優しく癒してくれる。


 紅茶を楽しんでいると、マーヤの鋭敏な聴覚が二人分の足音をキャッチする。


 一人は足音の質からして体重の軽い女性……先ほどの受付嬢だろう。


 そしてもう一人はかなり大柄だ。足音が重く、そして重心の移動が滑らかなことから素人ではないと判断できる。


 やがて応対室のドアが開かれる。


 入室してきたのは、つるりとした禿頭の大柄な中年男と、先ほどの受付嬢。


 中年男はよく日に焼けた浅黒い肌をしており、その鋭い目つきでジロリとマーヤを睨みつけた。


「ギルド支部長のダンサンだ」


 腹の底に響くような重低音の声。その見た目も相まって、かなりの迫力がある。


 しかし、マーヤはそんな事関係ないとばかりに紅茶を一口飲むと、だらりと椅子の背もたれに体を預けながら、やる気がなさそうな声で返答する。


「あいよ、初めまして。アタシはマーヤ……まあ、アタシの事は知ってんだろ?」


 ダンサンはマーヤの態度に眉をひそめながらも、何も言わずに対面の椅子に座った。


 隣で控えていた受付嬢がダンサンの前にも紅茶を置く。


「……もちろん知っている。魔王討伐の英雄。剛力の女戦士マーヤ」


「はは、有名人ってのはつらいねぇ……で?なんでアタシがこの街にいるってわかった?」


 当然といえば当然の疑問。


 マーヤはどの組織にも所属しておらず、旅の目的地も気まぐれで変わる。


 彼女の居場所を突き止めるのは至難の業なのだ。


「別に君がこの街にいるとギルドが把握していた訳ではない。緊急事態でな、全ギルド支部にこの書状が送られたんだ。もし巨大な斧を持った旅の女戦士が現れたら、この書状を渡せとな」


 そう言ってダンサンは先ほどの書状をテーブルの上に置く。


「なるほどね……それなら確かに納得だ。だけど考えなかったのかい? アタシは別にギルドに所属しているわけじゃあない。この招集を無視することだってできたんだよ?」


「知らんな。この招集方法を決めたのは幹部連中だ。俺みたいな下っ端は、ただ上に言われたことを”はいそうですか”つって犬みてぇに従順に遂行するだけさ」


 卑屈に笑うダンサン。その表情はどこか疲れて見えた。


「楽しそうな生き方には見えないねぇ」


「余計なお世話だ。ほら、ギルドのお偉いさんがこの場所に来いだとよ。移動の経費はギルドで出すから、馬車でもなんでも借りてとっとと向かいな」


 投げやりにテーブルの上に放られた別の書類、拾い上げて内容を読むと、マーヤは面倒くさそうに顔をしかめた。




「王都エラドラ……ね、あんまり良い思い出はねえな」




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