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ブルータル・ビー 2

「そっちに行きましたよマーヤ!」


 テオが鋭く警告を発する。


 マーヤはニヤリと笑い、懐から一本の短刀を抜く。


 それはドワーフの鍛冶職人により鍛え上げられた一振り。


 マーヤの仕留めた火山竜アタタカの爪で作られた一本だ。


 向かい来るは5匹のブルータル・ビー。


 人間の拳ほどの大きさがある殺人蜂。強力な痺れ毒を有する針がギラリと光る。


 神経を研ぎ澄ます。


 相手が必殺の一撃を持つ以上、いつものように力任せの戦闘ではいけない。


 マーヤは短く息を吐き出し、握りしめた刃を素早く振りぬく。


 先頭を飛んでいた1匹を見事に両断。残る4匹が左右にばらけて襲い来る。


 素早く、数の多い敵。いつものバトルアックスなら対応は難しかったかもしれない。


 しかし、今手にしているのは短刀だ。


 くるりと手首を返し、右側に旋回した2匹を切り裂く。


 ついでに体勢を低くして、左側から来る2匹の攻撃を回避すると、そのまま切り上げるようにして残りの2匹を切り裂いた。


 その様子を見て、パチパチと賞賛の拍手を送るテオ。


「流石ですねマーヤ。腕は鈍ってないみたいです」


「まあな、こういったすばしっこい敵は相変わらず苦手ではあるけどよ……この程度なら対応できるぜ」


 そしてマーヤはブルータル・ビーが飛んできた方向に目を向けた。


「あっちから飛んできたよな? ってことは巣はあの方向か?」


「おそらくそうでしょう……しかし気を付けてください。巣に近づけば、襲ってくる蜂の数はさっきの比ではありませんよ」


 その言葉を受けて、マーヤはカカカと豪快に笑う。


「だからこそアンタを誘ったんだろうがよ。期待してるぜ ”魔術師”」


 テオはやれやれと肩をすくめる。


 そう、こういった素早くて数の多い敵が相手はマーヤの最も苦手とする相手だ。


 そして同時に、範囲攻撃のすべを持つ魔術師であるテオにとってはもっとも相性の良い敵ともいえるだろう。


「火の魔術は使いませんよ? 蜂退治の副産物で山火事が起こりかねませんからね」


「それでも何とかなるんだろ?」


 たとえ得意である火の魔術が使えなくても何とかしてくれるという、テオの実力を信じ切ったマーヤの言葉。


 懐かしい。


 魔王城へと向かう旅の道中、彼女にはこうやってよく無茶をさせられたものだった。


 知らず知らずのうちにテオは微笑んでいた。


 魔術の研究で部屋に閉じこもっていたこの数年間無かった高揚。仲間とともに旅する喜び……。


 故に、テオは胸を張って答える。


「もちろん可能ですよマーヤ。なにせ私は世界最高の魔術師なのですから」


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