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火山竜アタタカ 3

 広範囲に吐き出され続ける灼熱のブレス。


 体内で温度を上げた息を吐き出すだけというシンプルな技だが、故に攻略が難しい。


 アタタカは知っていた。


 相手がどんな敵だろうが関係ない。このブレスが当たりさえすれば勝利するという事を……。


 ただ温度が高いだけ空気という、軌道がべらぼうに読みづらいその攻撃を、マーヤはアタタカの口の位置からおおよその予想を立てて回避する。


 しかし正確な攻撃位置の補足は難しく、マーヤの右腕スレスレを灼熱のブレスが通り過ぎる。


 ジュッと右腕の皮膚が焦げる音と共に、鼻につく異臭。


 右腕に走る激痛は、戦闘態勢で脳内からドバドバと溢れ出るアドレナリンが打ち消した。


 ダッシュでブレスを回避しながら、右腕の負傷具合を確認。


 やや感覚は鈍いが、問題なく武器は握れそうだった。


 アタタカは絶え間なく灼熱のブレスを吐き出しており、なかなか距離が詰められそうにない。


 マーヤは小さく舌打ちをして、何を思ったか、バトルアックスを思い切り振り上げて、そのままアタタカに向けて投げつけた。


 くるくると回転しながら、凄まじいスピードで飛んでいくバトルアックス。それは狙い通り、ブレスを吐き出し続けている火山竜アタタカの頭部に命中した。


 投擲されたバトルアックスの衝撃に、アタタカは大きくよろける。


 ブレスが中断されたその隙に、マーヤは一気に距離を詰めると、マーヤが最初に攻撃をした場所……すなわちアタタカの右後足に体重を乗せた強烈な肘鉄を叩き込む。


 マーヤの突進力を左肘の一点に乗せた一撃。いかにアタタカの強靭な体もひとたまりもなく、肘を打ち込まれた右後足の骨はポッキリと折れた。


 大気をつんざく悲鳴と共に地に倒れるアタタカ。


 もちろん、その悲鳴も彼の体内で温められた空気。触れればタダでは済まないが、すでにマーヤは射程圏外へと離脱していた。


 地面に落ちていたバトルアックスを拾い、構える。


 チラリと自身の左肘を見た。先ほどの攻撃でアタタカに直接触れた。


 確かに体温は高かったが、皮膚が焼けただれるほどではない。


 反対の右腕を見る。


 ブレスが掠っただけで表面が焼けている……。


 推測できる可能性として、アタタカは溶岩の温度に適合するため、非常に断熱性の高い毛皮を手に入れた。


 彼の体内は灼熱だが、その断熱性の高い毛皮のため、外から触れる分には問題ない。


 相性が悪いと思っていた。


 勇者カインのように、すべてを切り裂く聖剣を持っていたら、もっと楽に倒せただろうと。


 しかし逆だった。


 マーヤの戦闘スタイルは、火山竜アタタカと非常に相性が良い……。


 仮にカインがアタタカと戦っていた場合、最初の一撃でアタタカの毛皮を切り裂くことができただろうが、火山竜の体内から噴出する灼熱の体液が、カウンターのようにカインを襲っただろう。


 火山竜アタタカと戦う上での正解。マーヤは知らず知らずにうちにそれを行っていたらしい。


「……さて、そろそろ終わりにしようか火山竜……いい加減、動き回って腹も減ってきたしな」


 マーヤは地面に落ちていた拳大の石を拾い上げ、アタタカの顔面に向かって全力で投球する。


 凄まじい勢いで飛んでいく投石を、足を折られたアタタカは回避することができず、まともに受けることになる。


 顔面に石を当ててアタタカの視界を一瞬奪うことに成功したマーヤ。


 先ほどと同じ要領で素早く距離を詰め、アタタカの背後に回り込むと、彼の頭上に飛び上がる。


 グッとバトルアックスを大きく振り上げ、アタタカの脳天に向かって思い切り振り下ろした。


 鉄で肉を打つ鈍い音。


 力を失ったアタタカが地に倒れる。


 少し遠くでその戦いを見ていたドワーフのロッシーはポカンと口を開けて呆けていた。


「……マジかよ。本当に火山竜を倒しちまった」


 ロッシーの視線に気が付いたマーヤは、彼に向かって笑顔で手を振るのであった。





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