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火山竜アタタカ

 ドワーフの集落に悲鳴が響き渡る。


 炭鉱に籠っていた炭鉱夫たちも悲鳴を聞きつけ、何事かと穴から出てくるがその理由を知ってぎょっと目を見開く。


 火山竜アタタカ。


 腹をすかせた二つ名持ちの地竜は、逃げ惑うドワーフたちに向かって灼熱のブレスを吐き出した。


 普段溶岩の中で暮らすアタタカの体温は非常に高温で、彼の体内で温められた空気は、ただ吐き出すだけで周囲のものを焼き尽くす最強の攻撃となる。


 逃げ遅れたドワーフの幾人かが灼熱のブレスにとらえられ、瞬時に丸焦げになって絶命する。


 アタタカは悠々と仕留めた獲物に近寄ると、焼けすぎて少し炭化したドワーフの死体を大きな口で一飲みにした。


 ドワーフ数人を平らげたアタタカ。


 しかしまだ足りない。


 アタタカが地上に出てくる回数は少ない。快適な溶岩だまりの中から這い出したアタタカは、大量の餌を平らげて巣に戻り、数か月かけてゆっくりと胃袋の中身を消化する。


 故にアタタカは、逃げ惑うドワーフたちを、さらに捕食しようと歩みを進め掛け……その優れた聴覚で背後にいる存在に気が付き、足を止める。


「よぉ火山竜アタタカ。食事中にすまねえが……アタシとちょっと遊んでいきな」


 ギラギラと鋭い目線でアタタカをにらみつけるマーヤ。


 その手には身の丈ほどもある愛用のバトルアクスが握られている。


 アタタカは野生の直感で悟る。


 目の前にいる生物は、今までのようにただ捕食するだけの ”餌” ではなく……自分の生命すら脅かす ”敵” である……と。


 溶岩の灼熱に適合したアタタカにとって、その脅威は同族の地竜にすら感じたことのないものであり……その長い生涯で初めてともいえる生命の危機であった。


 アタタカの警戒を感じ取ったのか、マーヤはニヤリと不敵に笑い、バトルアックスの切っ先をアタタカに向けた。


「久しぶりの強敵だ……やろうか火山竜アタタカ」



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