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ドワーフの火酒 2

 ドワーフのロッシーとマーヤは、そのまま酒を飲み、飯を喰らいながらドワーフの集落について語り合った。


 ロッシー曰く、ドワーフの集落はだいたい良い炭鉱の近くにあるらしい。


 しかもその場所は、強靭な肉体を持つドワーフ以外の種族には定住に適さない過酷な環境であることが多いようだ。


 ドワーフたちはそう言った環境を選んでて住むことで、外敵から身を守っているという。


「食べ物とかどうしてんだ? 他の種族が定住できないような環境なんだろ?」


 当然と言えば当然の問いに、ロッシーは返答する。


「あぁ、過酷な環境だが、それでもワシら

ドワーフのように、そう言った環境に住むことで外敵から身を守っている生き物もいるんだ。そう言った動物・植物を採取してワシらは生き延びとる」

 

 「酒も同じよ」とロッシーは語る。曰く、ドワーフの火酒が流通しないのは、その原料が人間種が定住できないような過酷な環境下でしか採取できない植物だからだと。


 そう説明しながら、ロッシーは給仕が持ってきた肉の串焼きを手に取ると、うまそうにムシャリと齧り付き、それを手に持った酒で流し込んだ。


 そしてチラリと空になったコップを見てから続ける。


「人間の酒も悪くはないが……やはりドワーフの火酒には敵わかろうて。ドワーフは皆酒好きだからな!酒に対する執念が違うのよ!執念が!」


 酔いが回っているのか、ロッシーの語気が強くなる。


 そして給仕に追加の酒を注文しながらガハハと豪快に笑った。


 よく飲み、よく食べ、よく働く。


 ドワーフという種族について噂では聞いたことがあったが、こうして実際に対面で話すのは初めての経験だった。


 そして、ドワーフのその豪快な気性は、どうやらマーヤと相性がよさそうだ。


 マーヤはニヤリと不敵に笑うと、持っていた酒を一気に飲み干してコップを空にする。


 それを見たロッシーが面白いとばかりに鼻を鳴らした。


「なかなかいける口だなマーヤ……いっちょ飲み比べといくかい?」


「もちろん!負けねえぜ?」


 二人は顔を見合わせてニヤリと笑う。


「酒だ!樽で持ってきな!」


 ロッシーが給仕に注文すると、マーヤも負けじと叫ぶ。


「アタシも樽で持ってきてくれ!あと肉だ!ありったけ持ってこい!!」


 突然始まった豪快な飲み比べに、周囲にいた客たちも野次馬として集まってくる。


「ドワーフに飲み比べで勝てると思うなよ!」


「あんまり人間を舐めねえことだな!」


 酒豪たちによる酒宴は、夜遅くまで続くのだった。




◇ 

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