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ドワーフの火酒

 飲ん兵衛の荒くれどもが集まる街外れの酒場。一人酒をかっくらっていたドワーフにマーヤは声をかけた。


 曰く、「謝礼は払うからドワーフの集落に案内してくれないか」と。


「しっかし姉ちゃん、ドワーフの集落にいきたいなんて酔狂だな。言っておくが、とくに面白いもんはねえぞ?」 


 眉をひそめる髭面のドワーフに、マーヤはニヤリと笑って反論する。


「いやいや、そんな事ねえだろ? アタシには明確な目的があんだよ」


「目的ぃ? ヒューマンの姉ちゃんがドワーフになんの用があるってんだい? 言っておくが、ドワーフ族の鍛冶職人はほとんど集落にはいないぞ? なんてったて集落にいるより外で稼いだほうが儲かるからな! 集落にいるのは炭鉱掘りくらいのもんだよ……あぁ、鉱石を直接買いたいのか?」


 ドワーフは石とともに生きる種族である。


 頑強な肉体と器用な手先。そして鉱石の種類を見分ける審美眼。


 故に、ドワーフには優秀な鍛冶職人、宝石職人ならびに炭鉱掘りが多いのだ。


 だから髭面のドワーフも、マーヤがドワーフの集落から直接鉱石を買い付けたいのだと推察したのだが……。


 マーヤは首を横に降った。


「いーや。現役の頃なら良い鍛冶職人や鉱石に興味があっただろうけど……今は興味がない。アタシがほしいのはソレだよ」


 スッとマーヤが指さしたその先には、ドワーフが持っている酒が並々とそそがれた木製のコップ。


「ドワーフの集落には、外に流通していない独自の火酒があるって噂を聞いたんだが……間違いないかい?」


 一瞬ポカンと口を明けた髭面のドワーフ。やがて豪快に笑い出す。


「何だ姉ちゃん!!酒が飲みてぇのか!そうかそうか、いいぜ気に入った案内してやろう!謝礼はそうだな……」


 ちらりと自分の飲んでいるコップに視線を移す。


「今日のワシの飲み代をおごってくれるかい?」


 マーヤはニヤリと笑ってドワーフと向き合うように対面の席に座る。


「もちろん、おごらせてもらうよ」


 給仕に自分の分の酒と料理を頼んでから、ドワーフに向き直った。


「アタシはマーヤ。旅人さ」


 差し出されたマーヤの右手を、髭面のドワーフはガッシリと握り返す。


「ガハハハハッ!ワシはロッシー、しがない流れの鍛冶職人だ!里帰りは久々だ、しばらくよろしくなマーヤ!」





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