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内緒の話
「魔法を教えるにあたって約束してほしいことがあるの」
姫野先生の後ろから夕陽が差し掛かり、周囲を茜色に染めだす。
「ここで会ったことは内緒にしておいてね」
どんなことか問いかけたリンに、姫野先生は優しく答える。
人差し指を口の前にあて、目線をリンに合わせて話す。
(そっか。魔女のうわさってこんな仕組みになっていたのね)
納得して何度も頷くリン。
「でもどうして先生はここで魔法を?」
「魔法は自然にあるものから力を借りて使うの。だからここで力を集めていたのよ」
「自然から力を……」
「今日は入学式で早めの出勤だったから、時間空いたってのもあってね」
気さくに教えてくれる姫野先生に、リンは親しみを感じた。
リンがもっといろいろ教わろうとしたら、おなかの音が鳴りひびく。




