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迷った先で
昼過ぎに町に出たリンは昔の面影を探す。
新しくできた建物もあれば、お店が別の店になっていたところもある。
リンが昔の町と今の町を楽しみながら歩いていると、森林公園を見つけた。
「この辺って前は森だったはず……ってことは新しくできたのか。行ってみよう」
リンは興味津々な様子で森林公園の中に足を進める。
「迷った……?」
リンは森の中で呟く。
ぼんやりと立っていると風が吹いた。
木の葉が揺れる音がリンには少し怖く感じる。
「さっきまでは歓迎してくれてると思ったのに……」
日が傾きだして森の中が暗くなりはじめ、リンは途方に暮れる。
「なんだろ。あれ……光る綿毛」
風に運ばれたタンポポの綿毛が光っていた。
まるでリンを導くように森の奥に流れていく。
そのタンポポを追いかけ森を抜けると、その先の花畑でリンは瞳を輝かせた。




