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回想 ~プラットホーム~
鐘が鳴り響くと、また周囲が真っ暗になった。
「あれ?お兄ちゃんは?あってあの日のこと謝りたかったのに」
兄が一人暮らしを始めると聞き、リンはショックを受けて部屋に閉じこもった。
それは兄が出かける日も続いた。
先の場面はその時のものだったのだろうか、半透明になった手をじっと見る。
気が付くとリンはプラットホームにいた。
「東京駅……?」
案内板を見て、こんなところに来たのかふしぎに思い周囲を見渡してみる。
「朝霧ちゃん!」
背の高い男性と歩く朝霧がリンの体をすり抜ける。
「引っ越しばっかりで迷惑をかけてしまうね。今度はゆっくりできるはずだから」
「大丈夫ですわよ、お父様。人との出会いは今後の財産になりますから」
わずかに震えた声で朝霧が父と話していると、スーツケースを引く女性が来た。
その女性とリンがすれ違った瞬間、ボーンという音が鳴り響く。
すると周囲がまた暗闇に閉ざされる。




