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また失敗
「え?ここどこ?」
周囲を見渡すリン。
「真っ暗……何か出そうで怖いな」
杖を握りしめ、リンはおびえた口調でつぶやく
「先に何かある……?」
少し先に何かあることに気づき、リンは少しだけ歩いてみることにした。
暗闇の中歩くリンの耳にカチコチという音が聴こえる。
「時計……?」
リンが近づくにつれ、明らかになっていくものは振り子のついた柱時計だった。
(大きいな……お父さんぐらいあるよ)
定期的に音を鳴らし振り子が揺れる時計とリンは向かい合う。
(でもどうしてこんなところに?魔法となにか関係あるのかな)
柱時計の振り子部分に手を伸ばすリン。
ガラス部分に手を当てると、そこから波が起き、波紋となって広がっていく。
リンがその様子をぼんやりとみていると、時計が十二時を示しボーンと音が鳴る。




