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心を読む魔法?
「下校時間になりました。生徒は速やかに帰る準備をして帰宅してください」
チャイムのあとに放送部員の声が聞こえる。
凛と通った声が学校中に響き渡り、リンが驚いた顔をする。
「帰ろう」
「でもまだ読みかけ……ポーちゃんは読み終えたの?」
「借りる」
「そっか。私もそうするね」
「なら手続きに」
本を借りる手続きに向かうリンとポーリャ。
借りる場所では週の担当予定のボードがあり、マグネットの中にはリンの名もある。
(私も図書委員なんだって実感してきた――って本って何冊も借りれるの?)
青ざめているリンの肩に手を置いて掲示板を指さすポーリャ。
「本は一度に三冊までで返却は二週間以内でお願いします……」
教えてくれたポーリャにお礼を言うと同時に感心する。
(ポーちゃんすごい!私の考えてることわかるなんて――そっか魔法!)
きっと心を読む魔法だろうと、リンは思い付き借りた本をカバンに入れる。




