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腕を磨こう
「魔女狩りって中世の話でしょ?」
「もっと深く考えてくださいませ」
「情報の会話だけだった中世でも魔女狩りは起きた」
リンの言葉に朝霧が答え、ポーリャが続く。
「そっか。今の時代だと一気に情報は広がっちゃうから」
「だからこそより内緒にしておく必要があるのですわ」
「むむむ……わかる。わかるけど、やっぱりゆっきーには教えたい……」
リンはなにか解決策があるはずと必死に知恵を絞る。
「一番確実なのはポーリャさんと清白さんが魔法の腕を磨くことですわ」
「私たちが?」
「はい。そうすれば姫野先生の手が空いてもう一人ぐらい教えられるでしょう」
「そっか。朝霧ちゃん頭賢い!」
「魔法の腕を磨く……か」
朝霧の言葉に顔を輝かせるリンとは対照的に顔を曇らせるポーリャ。
春と呼ぶにはまだ冷たい風が靴箱から吹いていた。




