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入会希望者
「あ、あれえ?風の魔法で一か所にまとめるつもりだったのに……」
リンの唱えた魔法で埃は一か所に集まった。
ただし空中に。
そのまま空中を漂う姿は、まるで雲。
「と、とりあえずあれは後で捕まえるとして……次は床掃除!」
リンは続いて魔法を唱える。
「音色よ音色音の色――」
床が水浸しになる。
「あれえ?なんで?軽く濡らすだけだったのに……」
「水ぶきは終わった。水を出してからぶきしよう」
ポーリャは掃除道具入れから水切りを出してリンに渡す。
「はーい。おっかしいなあ……なんでこうなっちゃうのかな」
リンが原因を考えていると、扉がノックされた。
「マジック研究会に入会したいのですが」
どこかで聞いた声が外から聞こえる。誰だろうとリンは記憶をたどる。
そうだ、確かこの声は朝霧の声、と思い当たった。




