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チャイムが告げる始まりを
「私もカバン置いてくる――」
リンはおいてくるねと言おうとしたのだろうか。
最後の言葉はチャイムにかき消された。
「私たちも席に着こうか」
ゆっきーはリンに話しかけ、自分の席に戻る。
(魔女探しは終わっちゃったのか……私も最後までやりたかったな)
リンは自分の席を確認して、机の上にカバンを置く。
(やっぱり魔女とか魔法とかおとぎ話なのかな……この町にいるって話も全部)
引っ越す前に話題になった魔女のうわさをリンは思い出す。
『この町のどこかに魔女がいて、見つけたら魔法を教えてくれるんだって』
その話を聞き、リンはポーリャやユッキーたち数人で町を探しはじめた。
(しばらくしたら、お父さんたちの転勤が決まって引っ越したんだっけ)
遠い目をして昔のことを思い出すリン。
それから少しすると先生が来て、体育館に誘導する。
体育館で入学式が始まり、いろんな人の話を聞いて、また教室に戻ってきた。




