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先生のお話
「あー……うん。そうだね。今のうちに帰ってね、だもんね」
肩を落とした様子で話すゆっきー。
最後まで迷いを見せながら、ゆっきーは姫野先生に挨拶して教室を後にした。
(一緒に帰りたかったなあ)
心の中でゆっきーに謝るリン。
「さて、魔法はどういうものか、わかったかな」
「はい。骨身にしみました……」
リンとポーリャ、そして姫野先生の三人だけの教室で姫野先生が話しかける。
姫野先生の優しく話しかける声に、リンは弱々しく言葉を返す。
「なら、よし。お茶飲んであったまろ」
姫野先生はマグボトルからお茶をコップに移してリンとポーリャに手渡す。
緑茶の香りと温かさが冷え切ったリンの心にしみわたる。
(先生に迷惑かけちゃったな……)
自分の行動を恥じ、リンは受け取ったコップをギュッと握りしめた。




