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風
「びっくりした……。また雪が落ちたのか――」
木の近くを通る朝霧を見て、リンは虫の知らせを感じた。
その直後、木から落ちてきた雪に朝霧は埋もれた。
膝以上に積もった雪の中へ、リンは踏み込んでいく。
(助けるんだ!私が!私のせいだから!)
足に雪がまとわりつく。大きく足を上げて雪の中に足を入れる。
靴と靴下に雪が入り込む。それでもリンはひたすら前に進む。
雪に足を取られ、転ぶリン。立ち上がって歩こうとしてまた転ぶ。
(私がなんとかするんだ……私が!)
気持ちだけが先に進む中、何度も立ち上がっては転ぶを繰り返す。
何度目かの転倒で、リンは雪に顔をつけたままでいた。
そのとき、後ろから風を感じた。
「風?どこから?」
リンが顔を上げると、ポーリャが雪に埋もれた朝霧を助け出していた。
ポーリャは朝霧を担ぎ上げると、こっちに戻ってきてリンを起こす。




