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銀世界
「わっ!雪が――」
外は銀世界になっていた。
校庭を、中庭を、花壇を白い雪が覆い隠す。
「積もったねえ」
ポーリャが淡々と感想を漏らす。
(降りすぎだよ!ちょっとでよかったのに)
リンは急いで杖をケースから取り出して手に取る。
「ちょっと外見てくるね」
そう言って外に駆け出すと、杖がピロリンと鳴った。
(え、魔法力切れ!?ウソでしょ!?)
杖を軽く振ってみると、昨日と同じく軽快な音が奏でられる。
「行こう」
頭を抱えるリンに、ポーリャは淡々と話しかけ、部室の鍵を取り出した。
渡り廊下から見える景色は白一色。
すべてが雪に覆われた静かな世界に、雪は降りしきる。




