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雪模様
はらはらとまばらに雪が降る中、軽やかに通学路を駆けていくリン。
朝の早い時間でも、登校中の学生はたまに見かける。
同じ制服の人を目印に、リンはただひたすらに学校を目指す。
「到着っと」
校門を抜け、リンは一目散に部室に向かう。
(早くゆっきーやポーちゃんに雪を見せてあげるんだ!)
久しぶりに会った親友たちの笑顔が見たい、その一心でリンは走り続ける。
部室に向かう前の屋外通路がリンの目に入る。
リンが周囲を見渡すと、いる人間は自分一人だけだった。
(あそこで魔法を使っちゃおう!)
金縷梅と書かれた木の後ろに隠れ、リンは魔法を唱える。
「音色よ音色、音の色――」
しんしんと雪が降り始めた。




