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切断マジック
「こんな箱に入れたところでどうしようというのだ?」
いつの間にか先輩がかけている眼鏡には色がついていた。
「サボり魔を退治するのさ」
「どうやって?」
リンがトウ兄に聞くと、手にしていた杖を真横にふるう。
すると杖が剣に変わり、トウ兄は剣道でいう正眼の構えをとる。
「こうやってさ!」
トウ兄は剣を持ち上げ気合とともに振り下ろし、先輩を箱ごと真っ二つにする。
「ふはははは!その程度で我を倒せると思うたか!」
先輩は元気な声で真っ二つになった足を動かし、トウ兄に言い返す。
箱と箱とのスペースを広げ、トウ兄が通り抜けても足は元気に動いている。
ならばもう一度と、トウ兄が下半身を等分にしてもなお足は動く。
「どうしよう……このままじゃサボり魔が箱から出てきちゃう!」
「こうなったら――みんな!僕に力を貸してくれ!サボり魔を追い払う力を!」
心配そうなリンのつぶやきを受け、トウ兄は園児たちに呼びかけた。




