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寸劇
「え?なんで先輩マントとメガネして舞台にいるんですか?」
リンが素朴な疑問を口にすると一瞬だけ場が固まる。
「や……人数が十分だったから舞台の上でサボっていたんだよ」
役割分担と言いかけたのを、先輩は大げさな身振りでリンに言い返す。
「もーこういうのはみんなでやるものでしょ!」
「そうだね。いつもは手伝ってくれるのに。まさか何かに取りつかれたのかい?」
「その通り!我はサボり魔!何かにつけて人を休ませる存在だ!」
「なんだって!?こうなったらみんなで手分けしてあの箱に追い詰めるよ」
「わかりました!」
先輩、リン、トウ兄の順に舞台へ小さな階段を駆け上がっていく。
急に始まった劇に戸惑う朝霧をポーリャは舞台へ続く階段前に立たせた。
ポーリャは反対側の階段前に立つと、部隊の上で追いかけっこが始まる。
「おやこんなところに箱があるぞ。ちょうどいいこの中に隠れてしまおう」
先輩は先ほどまで自分が準備していた横倒しの箱へと体を潜らせていく。
「引っかかったな!それはサボり魔を倒すための特製の箱なのさ!」




