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マジックの魅せかた
朝霧に見惚れてといたのか、リンはしばらく立ち尽くす。
(そっか。自分の動きで飾ることもできるのね)
我に返ったリンの頭に、朝霧への感謝の念がよぎる。
「すごいね朝霧さん……ってあれポーちゃん?」
隣にいるポーリャが忽然と姿を消していた。
「どうしたの?リンちゃん」
リンが声に振り向くと、ポーリャが気合に満ちた雰囲気で歩いてくる。
(ポーちゃんも緊張していたんだね)
自分と同じ思いを秘めていた親友に心の中が温かくなるのを感じた。
「あとはお願いしますわね」
「任された」
朝霧が手品を終え、ポーリャが舞台に立つ。
ポーリャはシルクハットを取り出し、机に置くと杖でたたく。
すると、シルクハットから細長い風船が飛び出した。
ポーリャが空いている片手の指を動かすと、風船が党物へと形を変えていく。




