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発表会当日
「来ちゃったね、発表会……うん、気合入れよう!」
土曜日の朝早く、リンは身だしなみを整えて食事を終える。
「今日のために練習してきたんでしょう?」
「楽しんでおいで。それが何よりの財産になるからね」
「うん。行ってくるね!」
父と母に見送られて、リンは余裕を持って家を出た。
普段ゆっくり歩いてみる街並みも今日は急ぎ足で駆け抜ける。
「おはよー!」
リンが足を止め校門前にいる姫野先生とポーリャと挨拶を交わす。
その直後にワゴンのトランクが閉まる音が鳴る。
「あれ?もうみんないるの?一番乗りだと思ったのに」
そうつぶやくリンの前にはマジック研究会全員が勢ぞろいしていた。




