283/313
攻防戦
(そんな細かいところまで菫山君は見ちゃうの?どうしようなんて答えよう……)
「そもそもあの朝霧さんが校風委員ほおっておいてやること自体――」
下手なことを言えば魔法のことがばれると思いリンは言葉を考える。
ポーリャもどう言うのが正解か思考を巡らせて考えていた。
「清白さんの提案ですの」
不意な言葉に傘を上げると朝霧と岩筒地の姿が見え全員で挨拶を交わす。
「後で聞いたころ発表会が近いので練習をやりたいと」
「校風委員の仕事は?なんでやっちゃうわけ?」
「今後の交流を考えるなら合わせたほうが有意義と思いまして」
朝霧の言葉で回答に詰まった菫山にポーリャも言葉を重ねる。
「そう有意義。岩筒地ちゃんが折りたたみ傘も有意義」
「へ?これ?家出たときはセーフだったし学校に置き傘あるし」
「案の定降り出して近くの男子生徒が入るかと言ってきたところで――」
「颯爽と朝霧さんが登場してスッと折り畳み傘を貸してくれたんだよ」
それを聞くと菫山は鞄からバスタオルを岩筒地に渡し、一緒に歩いて行った。




