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チア部部室に到着
「はい。ありがとうございます」
チア部の先輩にお礼を言う裏でリンの心に不安がよぎった。
(普通なら大丈夫。ただ、去年トウ兄がやらかしたのがあるから問題はそこよね)
「着いたよ。二人とのここで休憩中だよ」
リンが去年の出し物をあとで聞こうと決めたところで全員の足が止まる。
チア部の先輩が部室の扉をノックに、ゆっきーと岩筒地の声が返ってきた。
元気そうな声にリンが一息ついていると、先輩が扉を開け中に入っていく。
「どう?テーピング終わった?」
「大丈夫です。ちょっとひねっただけですから」
リンが部屋の中を見ると、岩筒地が靴下を脱いで座っていた。
「足首は癖になるから、ちゃんとテーピングまくのよ」
「それがなかなか難しくてすぐ絡まっちゃいまして……」
絡まったテーピングをはがし、ポーリャは手際よくテーピングをまいていく。
「練習した」
皆が目を見開く中、保健委員の面目躍如をしたポーリャは誇らしげに胸を張る。




