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二人の反応
握っていた杖からピロリン♪と音が鳴る。
「これはね、マジック用の杖で、スイッチを押したら音が鳴るの」
姫野先生は教壇の上にある、リンが持ってきた箱からケースをひとつ取り出す。
ケースを開け、中にある杖をポーリャに見せた。
「はい。ポーリャさんの分」
「……書類がまだ」
杖を受け取ったポーリャが姫野先生に伝える。
「あ、そうねそうよね。忘れてた」
「大丈夫?」
「平気平気。担任は初めてだから、緊張してるのかな」
不思議そうな顔で聞いてきたポーリャに姫野先生は話す。
「杖はそのままでいいから、書類を書いてね」
ポーリャは首を縦に振って着席し、ペンを走らせる。
(今日はここまでかな)
リンは杖を振った。魔法の感覚を覚えておくために。




