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二階の部屋からホウキで空へ
「一番早いのは空から行くことよね。だから杖を箒に変えて……」
リンは階段を上り部屋に戻ると杖を手に、パルキオを肩に乗せ魔法の言葉を紡ぐ。
「音色よ音色、音の色。杖をホウキに姿変え、私を乗せて舞い上がれ」
箒になった杖に座り、リンは窓を開けて空を舞う。
「そうだ!鍵もかけてそれからそれから姿消して姿消してやることいっぱいだ」
慌てながらもリンは一つひとつの作業をこなしていく。
窓のカギがかかっていることを確認し、リンは夕暮れの空へ舞い上がる。
空を飛び空中から街を眺め、公園に差し掛かったころ異変が起きた。
「あ、あれ?まさかひょっとして魔法力切れ――」
言葉を言っているうちにもみるみる高度は下がり、やがてホウキが杖に戻る。
そのまま林の中に突っ込み、木の葉まみれになりながらも着地した。
「どうしたの?」
魔法の練習をしていたのだろうか、魔法の衣装のポーリャがリンに声をかける。
「ポーちゃん!あのね忘れ物を取りに学校に行こうとして落下しちゃった」




