245/313
謁見の間にて
「誰?」
「ポーちゃん!人に尋ねるときは自分から言うのが礼儀でしょ!はじめまし――」
「時と場合による」
自己紹介を始めようとしたリンの声にポーリャは言葉を重ねた。
「名前などどうでもいいではありませんか」
奥の椅子に座っている人がリンの言葉に応じる。
「あれって玉座かな?ってことはここは謁見の間?ポーちゃんはどう――」
「どうでも?」
小声でリンがポーリャに聞く。
言い終える前に警戒心をあらわにしたポーリャが玉座の人に言葉を投げる。
「ええ。そんなことよりもっと大事なことがあるでしょう?」
「例えばどんな?」
「もっと自由に魔法を使ってみませんか」
玉座の人はにっこりと笑ってリンの質問に答えた。




