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魔女探し
「魔女探しか……懐かしいな」
「菫山君も探したの?」
「付き合いであちこちぶん回された」
親指で岩筒地を指し菫山はリンに説明する。
「今にして思えばあれは大人たちが作ったでまかせって思うんだよね」
「は?」
「結局骨折り損のくたびれ儲けだったし、街を知るためのイベントかなって」
昔のことを思い出しているのか、菫山は魔女探しにしみじみと語っていく。
「魔女はいるもん」
菫山の言葉にカチンときたのか、リンは語気を強めて話す。
「いるって言われてもなあ……」
困った様子で菫山は頭をかく。
「散々探し回って影も形も――ああそうか清白さんは引っ越したから――」
「いるんだよ魔女は!この町に!」
思いを伝えようと、リンは言葉を荒げた。




