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リフレイン
リンは杖を手にしたまま耳を抑える。
「私この音苦手なのにー!」
音が大きくなりだした次の瞬間、急に静かになる。
先ほどと同じく、鳥のさえずりやグラウンドからの声が聞こえてきた。
リンが周囲を見渡すと、杖を手にした姫野先生の姿を見つける。
「ありがとうございます」
「魔法を使うときは魔法に集中、ね」
姫野先生の言葉に返事をし、お茶を一口飲んで、リンは杖を構える。
「あれ?杖が……」
三度魔法を唱えようとしたとき、杖からの光が弱くなっていることに気づく。
「先生、これって」
「杖に蓄えられている魔法力が減ってきたってことね。あと一回ぐらいかな」
その言葉で、リンは昨日を思い出す。
姫野先生との出会いを。花畑の風景を。光に包まれた幻想的な場面を。
鮮明なほどに鮮やかに、記憶がよみがえってきた。
「ひょっとしてあの時、杖に魔法力を籠めていたんですか?」




