228/313
屋上にて ~リン視点~
「空が近ーい!風が気持ちいいー!」
屋上の駐車場にリンの姿はあった。
「こういうところに来たらまず高いところよね。町も一望できるし」
金網越しにリンは街の景色を眺める。
「さてそろそろみんなと合流しようかな――ありゃ圏外。なら魔法かな」
携帯を見てリンは唇を尖らせたあと、物陰に隠れて杖を出して魔法を使う。
「音色よ音色、音の色。友人たちはどこにいる?場所を教えてくださいな」
リンの杖から音が奏でられていく。
「ポーちゃんは一回で朝霧ちゃんは二回に向かっている最中」
魔法の音色で居場所がわかると、リンは少し考え始めた。
「朝霧ちゃんに会いに行こう。ついでにアドレスや番号も教えてもらおう」
決めるが早いかリンはエレベーターに向かう。
「わっと、やっぱり屋上は風が強いね」
リンは両サイドにリボンがついた丸みを帯びた大き目のベレー帽を深めに被る。
空色のワンピースドレスと白のスカラップボレロが風になびく。
(朝霧ちゃんとは服売り場で会えそうよね。どんな服が好きなんだろ?)




