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嵐の後で
「もー!菫山君の言った通りの人よね教頭先生って!」
教頭先生が去ってしばらく、静寂が満ちる教室にリンの声が響く。
「ああ見えていろいろ考えておられる方だからなんとかなるはずよ」
大きく息を吐いて背もたれにもたれかかり、姫野先生はリンをなだめた。
「先生は教頭先生の味方なんですか?」
「リンちゃんとポーリャちゃんを応援する立場かな。フレーフレーって」
ポンポンを振るしぐさを姫野先生が行うと、ポーリャが淡々と質問する。
「私たちはどうすれば?」
「さしあたっては手品の練習ね」
淡々としたポーリャの質問に姫野先生は答えた。
「リンちゃんとポーリャちゃんがちゃんと手品できるかどうかが大切なの」
「マジックの練習は?」
「あと回しかな」
きっぱりと言う姫野先生の声にリンは頭を抱える。
(魔法だけをやりたいのに……朝霧ちゃんに相談してみようかな)
リンは気持ちを切り替えて、週末の買い物のことに頭を使い始めた。




