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成果を見せて
「問題点はふたつ。一つは今言った毎日残っていること」
教頭先生は自分の顔の横で人差し指を立て、リンに視線を合わせ話し始める。
「もうひとつは残っていた時になにをやっていたか、です」
「マジック研究会ならマジックの研究でしょ?」
「ならその成果を見せてください、という話になりますよね」
気軽に言ったリンは教頭先生の返した言葉に詰まる。
ポーリャも教頭先生を静かに見つめていた。
「急に言われても準備があるでしょうし、今後はこれから考えることです」
二人の様子を見て教頭先生は少し考えたうえで、言葉を続ける。
「ちゃんとした場でマジックの発表、それを見て今後を決めるとしましょうか」
言い終えると教頭先生は席を立つ。
「期待していますよ、清白さん、ポーリャさん」
教頭先生は扉を開けて外に出る。
そして扉を閉めるときに、教頭先生は微笑みとともに言葉を発した。
閉まる扉の音と去る足音がリンの耳に木霊する。




