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頑張ること
「どこかで歌った……そう、確かに歌っていた……どこで?」
思考の迷路に迷い込んだのか、ポーリャは顎に手を当てて下を向く。
「これはね、魔女探しの時の歌だよ」
リンの言葉にポーリャは顔を上げる。
「あの時の思い、私は今も抱いてるよ。ポーちゃんは?」
「私も。ずっと同じ」
「でしょ。初心があるから頑張れるんだよ」
胸を張って言葉を発したリンにポーリャは微笑して視線を合わせていく。
「頑張るのはいい。頑張りすぎは禁物」
リンは知っている。ポーリャの父が頑張りすぎて倒れたことを。
「うん。気をつける。だからポーちゃんも頑張って」
ポーリャは気づいていた。頑張る自分を冷めた目で見ていたことを。
「頑張ろう。一緒に」
リンとポーリャの声が重なり、マジック研究会の教室に響いた。




