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久しぶりの魔法
「熱くなりすぎ。深呼吸」
ポーリャは少しだけ熱がこもった口調でリンに話すと、深呼吸を始める。
熱意を肩透かしされたリンは、やる気がなえていくのがわかった。
(くじけるもんか!ポーちゃんのやる気を出す方法がなにかあるはずよ)
リンは大きく息を吐き、気持ちを奮い立たせる。
そしてリンは頭に酸素を送るため、ポーリャの動きに合わせて深呼吸を始めた。
「そもそもどうして熱くなったの?」
深呼吸が終わると、ポーリャが抑揚のある口調でリンに聞いてきた。
「ポーちゃんにやる気を出してもらいたくて」
「どうして?」
「早く魔女ひなになって、ゆっきーを誘って魔法の練習を一緒にやりたいから」
リンはポーリャに自分の気持ちを伝えると、杖を手に取る。
「ずっとイメージトレーニングは続けていたの。だからきっとうまくいくはずよ」
心に綿毛が集まり雲になる状況を思い浮かべ、リンは魔法の言葉を口にする。
「音色よ音色、音の色――」




