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変わる空気
バタバタしていたとはいえ、リンは自分のうっかりを悔やむ。
(まあいっか。終わったこと、終わったこと。次から気をつけよう)
気持ちを切り替えて、今は姫野先生にコンパクトをもらおうとリンは心に決める。
「魔法の衣装のこと教えてありがとう、朝霧ちゃん」
「別にお礼なんて……むしろこっちが言いたいぐらいですのに」
小声でごにょごにょと話す朝霧をリンはふしぎに思う。
リンが呼びかけても朝霧は上の空だったため、ポーリャに聞いてみる。
「どうしたのかな朝霧ちゃん。何か悩み事でもあるのかな」
「周囲との壁が急に消えたから」
朝の一件以来、クラスの雰囲気は一変した。
リンにも朝霧にもみんなは暖かく接してくれる。
「えーっとつまりは思い出作りってことよね?だったら週末三人でどっか行く?」
「春物の服でも見に行かれますか?」
「なら集合は公園で」
「現地でいいじゃん」
「迷子が出るから」




