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音の魔法
「心のおもむくままに言葉を紡いでごらん」
姫野先生は箱の中から紙コップと水筒を取り出す。
そして水筒から紙コップにお茶を注ぎ、リンの前にそっと差し出した。
「ありがとうございます。いただきますね」
お茶を飲もうとリンは紙コップに手を伸ばす。
(そうだ!紙コップに魔法をかけてみよう)
リンは姫野先生に視線を送る。
姫野先生はにっこりとほほ笑んで、首を縦に振った。
「音色よ、音色、音の色――」
リンは魔法を唱えてコップを見つめた。
中のお茶が揺れるのをイメージして、杖を向ける。
「コップを揺らして、ちゃぷちゃぷと」
リンが魔法を唱え終えると、コップが揺れ始め音が鳴りだす。
「やった、できた!できましたよ先生!」
そうリンが言っている間も少しずつコップの揺れと音が大きくなっていく。




