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外の空気
声を荒げてゆっきーは朝霧に言い返す。
「この町が好きだからここにいる、というならまだまだということですわ」
「朝霧さんならどうするの?」
「この町が好きだからこそ、外に出て学んで帰ってきてはどうでしょうか」
朝霧はそう言うと窓を開ける。
「町の良いところ変えるべきところ、それらを知るために一度離れてみては?」
窓から朝の新鮮な空気と春の香りが風に乗って教室に入ってきた。
「換気って空気入れ替えろってこと?」
リンが朝霧に問いかける。
「おっしゃる通りですわ。空気がよどんでいては考えもよどみますから」
「気軽に言ってくれるけどさ、そう簡単に離れられるわけ――」
「雪八柳さんの人生でしょう?雪柳さんが決めるのが当り前ですわ」
きっぱりと言い放つ朝霧にゆっきーはたじろぐ。
「朝霧ちゃん、もっと優しく言おうよ」
「ありがとうございます清白さん。はっきり伝えるのが私なのです」
「だからそれだとみんながいやな気分になっちゃうじゃん」




