20/313
リンちゃんが選ぶもの
鳥のさえずりがリンの耳に届く。
グラウンドからは運動部の声が聞こえる。
時折ホイッスルの音が響く。
「音、音の魔法にしますね」
リンが姫野先生に告げると、杖がほんのりと輝いた。
「杖がリンちゃんを持ち主だって覚えたんだよ」
「杖が……私を……?」
おうむ返しに聞くリンに姫野先生はしっかりと頷く。
「ええ。大切に扱ってね」
しっかりと杖を握りしめて答えるリン。
「それじゃ魔法の使い方を簡単に教えちゃおう」
姫野先生が魔法について話し始める。
心の中で思い描いたものを外に出す。そのために杖をふるう。
そして実際に思い描いたことを現実で起こすために、言葉を紡ぐ必要がある、と。




