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魔法使ってみたい?
「トウ兄も魔法使ってみたい?」
「魔法?」
「そう。魔法。もし私が魔女だったとしてトウ兄は魔法教わりたい?」
意を決してリンは細花先輩に聞いてみた。
「そうだね、魔法か……」
分類別にまとまっていた本を準備室の外に持っていく。
リンも同じ冊数の本の山をもって後に続いて運ぶ。
それが終わると、細川先輩は返却されたばかりの本をもって準備室に戻る。
「ありがと、リンちゃん」
準備室の扉を開けて、道を作ったリンに細川先輩はお礼を言う。
「覚えてみたくはあるよ。ただほかの人に譲ろうかな」
「え?譲っちゃうの?」
「うん。僕にはやりたいことがあるか――ってリンちゃんどうしたの?」
「やっぱり。やっぱり、みんな変わっちゃうんだ。私だけが――」
「昔と一緒だって」
ショックを受けたのか、下を向いてポツリと話すリンを細羽は先輩は励ます。




