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百面相
「リンちゃん」
ポーリャがリンを呼び止める。
淡々としながらも強い口調に、リンの足は止まった。
「どこ行くの?」
「魔法、使いに行くの。先生と会話できるように」
「先にご飯。食べよ?」
最後の呼びかけから、少しだけ優しさをリンは感じた。
「だって……知りたいんだもん」
「自業自得」
ポーリャの言葉にリンは難しい顔になる。
その顔は言い換えそうにもその通り、だけどわかってほしいという表情だった。
「大丈夫。聞いたら教えてくれるから」
ポーリャの表情が少しだけ崩れる。
「……うん。わかった」
「まったく。リンちゃんはいつも百面相」
ポーリャの言葉にはにかんだのか、リンは自分の顔に手を当てる。




