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「トウ兄について教えてくださいましてありがとうございます。雪八柳さん」
リンたちは廊下を歩いて階段を上る。目指すは音楽室。
「マジック研究会の先輩ならご挨拶してこようかしら」
「幽霊部員だし、出会った時で良いと思うよ。先輩の教室って行きづらいし」
「そうなの?」
「清白さん……」
「リンちゃんはリンちゃんだから」
朝霧は一瞬だけあっけにとられた表情をすると、すぐ普段に戻る。
「というか細花灯倶、細花灯倶……」
何かを思い出そうとするそぶりを見せ、朝霧は考え込む。
「細花先輩って話聞く分にはかっこよさそうよね。どうしてフリーなの?」
岩筒地が素朴な疑問を聞いてきた。
「とーぐーだから王子様っぽいことをやろうとして失敗したらしくて」
「ああ。どこかで聞いたと思ったら、乗馬クラブに何度か顔を出した方ですわね」
朝霧のいる乗馬クラブでも有名なのか、特徴をかいつまんで話す。




