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「いいもんいいもん!先生に聞くもん!」
「そうすると姫野先生、ショック受けるかも」
通りすがった岩筒地も会話に参加する。
「ふえ?なんで?」
「リンちゃんにとって私の話は子守唄なのねって」
「えー!ちょっと考え事してただけなのに!」
「何を考えてたの?」
「えーっと……その……トウ兄やゆっきーとマジックの練習できたらなって」
岩筒地の問いかけに視線を泳がせ、リンはごまかすかのように話す。
「あ――」
「リンちゃんは豊か。心も考えも」
あなたねえなのかあのねえなのか、朝霧が言葉を発する前に口を開くポーリャ。
「発想は自由。それがリンちゃんの強さ」
感動したのか、瞳を潤ませてリンはポーリャを見つめ抱きつこうと駆け出す。
「行こう。そろそろ」
抱きつこうとするリンから身をひるがえして、ポーリャは淡々と話を進めていく。




