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変わる風向き
「これ以上は個人情報ですね。控えるとしましょうか」
「ふえ?」
急に風向きが変わりキョトンとするリンの耳に、扉のノック音が届く。
「教頭先生、今よろしいですか?」
「はい。伺いますよ」
二人に会釈して席を外す教頭先生。
「あのさトウ兄!聞きたいことがあるの?」
「うん?何かな」
「魔法なんだけどさ」
急な愛称呼びに目をつぶり、真剣な顔で話すリンを細花先輩はまっすぐに見つめた。
「ああ。特別なマジックのことだね」
「へ?特別?」
「僕もマジック研究会員だし、姉さんからそう聞いてるよ。」
予防線を張っていてくれたツグ姉に、リンは心の底から感謝する。
「そういえばリンちゃんも図書委員だよね。明日はよろしく」




