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お互いの愛称
(なんで階段上ったんだろ?慌ててたのかなあ……)
一回に戻り廊下を少し早足で歩きながらリンは振り返る。
杖が入ったケースを見ているのは、早く魔法を使いこなせる思いからだろうか。
(とにかくとー……細花先輩を見つけることが先決よね)
悩んでた自分に別れを告げ、リンは頭を切り替える。
「スズちゃんとポーちゃんに感謝よね。どこに何がは大体わかるもん」
野良猫と思い追いかけまわしていたころを思い出すリン。
やがてリン廊下を行きかう人の中に、細花先輩の姿を見つける。
「先輩みっけ!」
「清白さんどうしたの?」
「だからリンちゃ――」
「人が多いところで愛称で呼ぶのはちょっと……」
「わかったよとーぐー」
リンの話に小声で答えた細花先輩は、リンの返事に苦笑いを浮かべる。
「懐かしいね。昔よくそう呼ばれてたっけ」




