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細川先輩
ポーリャの話を聞き、リンは男子学生の顔を見る。
またポーリャを見るリン。
それを何度も繰り返す。何度も何度も何度でも。
「ツグ姉の弟さん?」
「はい。久しぶりだね、りっかさん」
「リンって呼んで!昔みたいにちゃんづけで!」
「ツグ姉の弟でも先輩。一つ上」
「そうなの?背同じぐらいだったじゃん!」
いつの話を、とあきれたのか大きく息を漏らすポーリャ。
「小学校が別、会うのは放課後」
「家は近所だったのにー。えーっと……」
「細川灯倶。呼び方は任せるよ」
「なら細川先輩って呼びますね」
「了解。また会えてうれしいよ、リンちゃん。積もる話は今度ゆっくりね」
リンに軽く挨拶して、細川先輩は姫野先生に会いに向かう。
その後姿を見送ってしばらくすると、リンは冷や汗をかいた。




