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姫野先生
「先生、リンちゃんって呼んでください」
「ここは学校だから、ね」
「昨日はリンちゃんって――」
昨日と同じように呼んでほしいのか、リンは姫野先生に昨日のことを口にする。
「ひとまず職員室に行こうか。そのあと部室に案内するね」
話し終える前に、姫野先生は言葉を重ね、職員室に向かう。
何か言いたそうな顔をして、リンはその後ろを歩く。
「魔法を教えるときはリンちゃんって呼んで、普段は清白さんでどうかな?」
廊下で二人っきりになると、姫野先生は小声で話しかけた。
「それならまだ……」
「ありがとう、清白さん。職員室の荷物、一緒に部室に運ぼうか」
しばらく考えてから答えたリンに、姫野先生はお願いをしてきた。




