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魔法はあるよ
「朝霧さんどうだった?」
「ちょっとまだご機嫌ナナメかな……また後で謝っとくよ」
ゆっきーの問いかけに岩筒地は答え、菫山を連れて席に向かう。
「どうしたの?リンちゃん」
あとには頬を膨らませたリンが残り、ポーリャが声をかける。
「魔法はあるのに……ちゃんと使えるのに……」
「そう。魔法はあるよ。ちゃんとここに」
わなわなと震えるリンに小声で答えるポーリャ。
「ほら席に着こう。先生きちゃうよ」
ゆっきーの声でポーリャは席に戻っていく。
リンも続いて自分の席に行き、腰かける。
(もっとちゃんと魔法を使えるようになろう。一日も早く)
リンはゆっきーの背中を見てどうやって魔法を使えるようになるかを考え始める。
視界の片隅では、岩筒地と菫山が仲良く話をしていた。




