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一歩目
「私はその子に合わせて教えてるよ。全部教えたり本人に任せたりしてる」
「そっかあ。人それぞれですもんね」
そういうことと頷いた姫野先生との会話を終え、外に出ようと振り向くリン。
ふいに、傘立てが瞳に飛び込んできた。
「そうだ！先生折り畳みの傘ってあります？」
「あるよ。どうしたの？」
「また降ってきたときとか車が水をはねてきた時の盾につかるかなって」
身振り手振りを交えてリンは姫野先生に答える。
「わかった。ちょっと待っててね、持ってくるから」
「あったよ。はい」
「ありがとうございます！休み明けにお返ししますね」
「うん。部活の時間に返してね」
リンは折り畳み傘を受け取ると、挨拶をして家への一歩を踏み出す。
少しだけ春を感じる風の中、リンが空を見上げると、虹が出ていた。
